この記事の著者・監修者
院長:戸梶 仁聡(とかじ ひろあき)
歯科医師になって30数年間、自分の理想とする【患者さんのための歯医者】を求め続けてここまでやってきました。
資格・所属学会
- 日本矯正歯科学会認定医
- 歯学博士
- 上智大学カウンセリング研究所認定カウンセラー
- NCC認定カウンセラー
- 日本矯正歯科学会
- 日本歯周病学会
- アメリカ歯周病学会
歯周外科を行ったケース
1)主訴:歯ぐきが腫れて痛む
2)診断:重度成人性歯周炎
3)年齢・性別:55歳・女性
4)抜歯部位:右上6番頬側根
5)治療計画:全顎の非外科治療(SRP)根管治療>再評価>歯周外科治療>再評価>インプラント、補綴治療
6)治療期間:約1年
7)治療費:約200万円
8)リスク:歯肉退縮による根面カリエス、知覚過敏、歯髄炎のリスク、歯根破折のリスク
55歳の女性。右上の小臼歯部の歯ぐきがはれて痛むため来院。歯がぐらぐらして、物がかめないため、歯周病が原因と思って来院されたが、根尖病変の悪化によるものであった。緊急治療として、右上のブリッジを除去して、4番の根管治療を行い、炎症がおさまったときの口腔内写真。
以前、左下の欠損部には義歯を作ったが、違和感が強く入れてられなかった。左上の犬歯から大臼歯部にかけては、対合歯がないために下方に挺出している。
初診時口腔内(1996.09.03)
初診時歯周検査
全顎にわたって中等度の骨吸収が認められる。上顎は多くの歯牙が不適切な根管治療を受けており、根尖病巣が認められる。
初診時歯周検査
ポケット3mm以下は記入していない。上顎と右下臼歯部には6mmをこえる部位が多数あり、多くの歯牙が動揺している。*印はBOP(プロービング時の出血)を示す。
右下7番は動揺3度で、対合歯もないため、抜歯となった。
上顎前歯は下顎前歯の突き上げにより、フレアーアウトして、歯の間に隙間が生じている。
歯周基本治療
歯周基本治療として、全顎を5回に分けて、局所麻酔下にて歯石などの感染源の除去(スケーリング&ルートプレーニング)を行った。
基本治療後の口腔内写真(1996.09.02.)
歯周基本治療終了時レントゲン写真
歯周ポケットの再評価検査結果
右の上下臼歯(16,45,46番歯)と左下犬歯(33番)に深いポケットが残っているため、同部位に対して、歯周外科処置を行うこととした。
確定治療
咬合再構成のための診断用ワックスアップ模型。左下はインプラントを埋入する予定。
形成された上顎の歯牙。この後診断用ワックスアップに基づいて制作されたテンポラリークラウンがセットされた。
歯周外科治療
右上6番は頬側根の周囲に骨がなかったため、口蓋根のみを残して抜歯した。
右下5,6番は清掃しやすいように、骨整形をして骨縁下ポケットを除去した。
左下3番は遠心側に深い骨縁舌ポケットがあったため、骨整形と根面の清掃を行った。また頬小帯が歯槽頂に達していたため、インプラント埋入に先だって、下方へ移動(歯肉根尖側即移動術)を行った。創面をコラーゲン膜(サージセル)で覆った。
歯周治療終了時(1997年11月28日)
歯周治療終了時レントゲン写真
外科手術後の再評価検査の結果
深い歯周ポケットや分岐部病変はなくなった。これで歯周治療は終了し、いよいよインプラント埋入と最終補綴にはいる。
インプラント埋入
左よりステント至適・埋入後のヒーリングキャップ・アバットメント装着
埋入後、約4ヶ月の間インプラントが骨と結合するまでの間ヒーリングキャップですごす。
その後アバットメント装着し、最終補綴物を装着する。
補綴終了時口腔内(1999.06.23)
補綴終了時レントゲン写真(1999.06.23)
メンテナンス時口腔内(2006.08.22)
治療終了時からまもなく9年が経過しようとしているが、その間3ヶ月に1度の定期的なメンテナンスを行い、現在まで歯周病の再発もなく、全ての残存歯は保存されている。
歯科医師になって30数年間、自分の理想とする【患者さんのための歯医者】を求め続けてここまでやってきました。
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