副鼻腔炎(ちくのう症)と根管治療


上顎大臼歯は上顎洞という副鼻腔に近接しているため、歯の根尖病変が副鼻腔炎の原因になっていることがあります。これは歯性上顎洞炎と呼ばれています。通常鼻性上顎洞炎は両側性に起きることが多いですが、歯性上顎洞炎はその作用機序から片側性であることが多いです。

Fさんは風邪や花粉症の季節になると毎年上顎洞炎に悩まされていました。左上7番に根尖病変が見つかり根管治療したところ、根管内からはかなりの腐敗臭があり、排膿が認められました。

治療前


左上小臼歯から大臼歯の根尖付近に上顎洞の下壁を示す白いラインが認められます。7番の根尖部付近ではそのラインが途切れ、周囲に黒い影の部分が出来ていることに注目。

治療後


根管充填後の7番。根尖周囲の黒いレントゲン透過像は縮小してきています。上顎洞内も治療前はやや白く濁りが見られましたが、治療後では濁りがとれて黒く見えます。

治療後はすっきりしており、花粉症の季節になっても今年は副鼻腔炎にならず快適だということです。かつて上の奥歯の神経の治療をしていて、副鼻腔炎に悩まされている方、それは歯が原因かもしれません。

根管内の折れたリーマー


左上2番の歯茎が腫れて来院された26歳の女性の患者さん。

2週間ほど前に同部位がズキズキ痛み寝れなかったため、某歯科医院を受診しました。根の先に膿がたまっていると言われて根管治療を受けましたが、痛みが止まらず歯茎が腫れ始めてしまいました。別の医院を受診したところ、根尖部分に器具が折れて残っているので、歯茎を切って根の先を切りとる手術が必要と言われました。

なんとか手術をしなくて済む方法は無いかとインターネットで色々と調べて、当院に来院されました。

レントゲンを撮ってみると、根尖部に折れたリーマーがありました。これが感染源になって歯茎が腫れている可能性が高いようです。ラバーダム防湿をして、滅菌された器具を使っていれば、このような事は起こりません。

手術は避けたいという患者さんの希望により、通常の根管治療での除去を試みる事にしました。幸い前歯で根管がまっすぐなのと、折れたリーマーが長いので、マイクロスコープを使えば除去できる可能性は高いです。

除去前


除去後


除去されたリーマー


とかじ歯科医院院長:戸梶 仁聡のプロフィール写真

この記事の著者・監修者

院長:戸梶 仁聡(とかじ ひろあき)

歯科医師になって30数年間、自分の理想とする【患者さんのための歯医者】を求め続けてここまでやってきました。

資格・所属学会

  • 日本矯正歯科学会認定医
  • 歯学博士
  • 上智大学カウンセリング研究所認定カウンセラー
  • NCC認定カウンセラー
  • 日本矯正歯科学会
  • 日本歯周病学会
  • アメリカ歯周病学会

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