歯周病治療例その4


歯周病治療例その4 (重度歯周病治療例)


<症例4>55歳女性

歯周外科を行ったケース

1)主訴:歯ぐきが腫れて痛む

2)診断:重度成人性歯周炎

3)年齢・性別:55歳・女性

4)抜歯部位:右上6番頬側根

5)治療計画:全顎の非外科治療(SRP)根管治療>再評価>歯周外科治療>再評価>インプラント、補綴治療

6)治療期間:約1年

7)治療費:約200万円

8)リスク:歯肉退縮による根面カリエス、知覚過敏、歯髄炎のリスク、歯根破折のリスク

55歳の女性。右上の小臼歯部の歯ぐきがはれて痛むため来院。歯がぐらぐらして、物がかめないため、歯周病が原因と思って来院されたが、根尖病変の悪化によるものであった。緊急治療として、右上のブリッジを除去して、4番の根管治療を行い、炎症がおさまったときの口腔内写真。

以前、左下の欠損部には義歯を作ったが、違和感が強く入れてられなかった。左上の犬歯から大臼歯部にかけては、対合歯がないために下方に挺出している。

初診時口腔内(1996.09.03)


初診時歯周検査

全顎にわたって中等度の骨吸収が認められる。上顎は多くの歯牙が不適切な根管治療を受けており、根尖病巣が認められる。


初診時歯周検査

ポケット3mm以下は記入していない。上顎と右下臼歯部には6mmをこえる部位が多数あり、多くの歯牙が動揺している。*印はBOP(プロービング時の出血)を示す。

右下7番は動揺3度で、対合歯もないため、抜歯となった。

上顎前歯は下顎前歯の突き上げにより、フレアーアウトして、歯の間に隙間が生じている。


歯周基本治療

歯周基本治療として、全顎を5回に分けて、局所麻酔下にて歯石などの感染源の除去(スケーリング&ルートプレーニング)を行った。

基本治療後の口腔内写真(1996.09.02.)

歯周基本治療終了時レントゲン写真

歯周ポケットの再評価検査結果

右の上下臼歯(16,45,46番歯)と左下犬歯(33番)に深いポケットが残っているため、同部位に対して、歯周外科処置を行うこととした。


確定治療

咬合再構成のための診断用ワックスアップ模型。左下はインプラントを埋入する予定。

形成された上顎の歯牙。この後診断用ワックスアップに基づいて制作されたテンポラリークラウンがセットされた。


歯周外科治療

右上6番は頬側根の周囲に骨がなかったため、口蓋根のみを残して抜歯した。


右下5,6番は清掃しやすいように、骨整形をして骨縁下ポケットを除去した。


左下3番は遠心側に深い骨縁舌ポケットがあったため、骨整形と根面の清掃を行った。また頬小帯が歯槽頂に達していたため、インプラント埋入に先だって、下方へ移動(歯肉根尖側即移動術)を行った。創面をコラーゲン膜(サージセル)で覆った。

歯周治療終了時(1997年11月28日)

歯周治療終了時レントゲン写真

外科手術後の再評価検査の結果

深い歯周ポケットや分岐部病変はなくなった。これで歯周治療は終了し、いよいよインプラント埋入と最終補綴にはいる。

インプラント埋入

左よりステント至適・埋入後のヒーリングキャップ・アバットメント装着

埋入後、約4ヶ月の間インプラントが骨と結合するまでの間ヒーリングキャップですごす。

その後アバットメント装着し、最終補綴物を装着する。

補綴終了時口腔内(1999.06.23)

補綴終了時レントゲン写真(1999.06.23)

メンテナンス時口腔内(2006.08.22)

治療終了時からまもなく9年が経過しようとしているが、その間3ヶ月に1度の定期的なメンテナンスを行い、現在まで歯周病の再発もなく、全ての残存歯は保存されている。


とかじ歯科医院院長:戸梶 仁聡のプロフィール写真

この記事の著者・監修者

院長:戸梶 仁聡(とかじ ひろあき)

歯科医師になって30数年間、自分の理想とする【患者さんのための歯医者】を求め続けてここまでやってきました。

資格・所属学会

  • 日本矯正歯科学会認定医
  • 歯学博士
  • 上智大学カウンセリング研究所認定カウンセラー
  • NCC認定カウンセラー
  • 日本矯正歯科学会
  • 日本歯周病学会
  • アメリカ歯周病学会

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